はじめに|施術の「技術」を支える、もう一つの土台(ヨガ哲学・八支則とは)

ボディセラピスト/マッサージセラピストやボディワーカー、施術者の中には、

  • 「技術は学んできたけれど、これで本当にいいのだろうかと自信が持てない」
  • 「初めてのクライアントさんに向き合うとき、すごく緊張してしまう」
  • 「自分の身体や心が、少しずつすり減っている気がする」

そんな想いを抱えている方も多いのではないでしょうか。

ヨガには**「八支則(はっしそく)」**と呼ばれる、心と身体、そして生き方全体を整えるための智慧があります。

八支則は、ヨガ哲学の基本であり、現代ではヨガインストラクターだけでなく、
セラピスト・整体師・ボディワーカーにとっても重要な指針として注目されています。
これはポーズ(アーサナ)のためだけの教えではなく、
人と関わり、人生を歩むための哲学です。

実はこの八支則は、
セラピストとして大切にしたい在り方と、深く重なっています。

この記事では、ヨガの八支則を
マッサージ/ボディセラピストの視点に置き換え、
16のテーマとして、できるだけわかりやすくお伝えします。

FLOWボディセラピースクールで大切にしている
「身体の使い方」「在り方」「長く続けられる施術」の本質も、
この八支則の中に息づいています。

※ヨガ哲学はそれぞれの解釈や考え方がありますので、これが正解ではなく、さまざまな場面で変化しています。
もし、ヨガを実践されている方で、考え方や解釈が違うと思われる方もおられるかも知れません。
私自身、本質を捉えられているかと問われるとまだまだ未熟で日々学んでいる最中ですので、ご了承下さい。


八支則とは?セラピストのための全体像

八支則は、8つに分類されますが、大きく3つに分けてお伝えしていきますね。。

  1. ヤマ:人との関わり方
  2. ニヤマ:自分自身との向き合い方
  3. アーサナ、プラーナヤーマ、プラティヤハーラ、ダーラナ、ディヤーナ、サマーディ:施術の中で体現される在り方

まずは土台となる「心の姿勢」から見ていきましょう。

スウェディッシュマッサージはこりを解し、自律神経を整え、デトックスを促します。

セラピストとしての在り方はクライアントが育ててくれます


1. ヤマ(禁戒)|セラピストに必要な人との関わり方の基本

ヤマは、他者との関係性において大切にする姿勢を教えてくれます。
セラピストにとっては、クライアントとの信頼関係そのものですし、
自分との関わりでもあります。

1-1. アヒンサー(非暴力)|優しいタッチと身体への尊重

力任せの施術や、「効かせなければ」という無意識の圧は、
相手の身体を尊重していない行為になることがあります。

アヒンサーとは、
相手の身体の声を聴き、無理をさせない優しさ

触れる手に、安心と安全を宿すこと。
それが、深い緩みへの第一歩です。

1-2. サティヤ(正直)|誠実さが信頼を育てる

できないことを無理に引き受けない。
わからないことを、わからないと言える。

その正直さこそが、
クライアントとの長い信頼関係を育てます。

1-3. アステーヤ(不盗)|時間と信頼を大切にする

施術時間を守ること。
エネルギーを奪い合わないこと。

アステーヤは、
信頼が循環する健やかな関係性を思い出させてくれます。

1-4. ブラフマチャリヤ(節度)|健全な境界線

近づきすぎず、離れすぎない。
お互いを尊重するための境界線を持つこと。

節度ある関わりは、
セラピスト自身を守り、
クライアントにも安心感をもたらします。

1-5. アパリグラハ(不貪)|依存させない在り方

「私がいないとダメ」という関係ではなく、
その人本来の力が目覚めるサポートをする。

自然な循環を信じることも、
成熟したセラピストの姿です。


2. ニヤマ(勧戒)|マッサージ/ボディセラピスト自身の心と身体の整え方

ニヤマは、
セラピスト自身の心と身体を整えるための教えです。

2-1. シャウチャ(清浄)|空間と身体を整える

サロンの空気、身だしなみ、手の清潔さ。

それらはすべて、
施術の質を静かに高めていきます。

2-2. サントーシャ(知足)|今あるものへの感謝

「もっと」「まだ足りない」ではなく、
今ここにあるものに気づくこと。

心の余白が、
施術にも穏やかさをもたらします。

2-3. タパス(鍛錬)|続ける力

一人ひとりに寄り添い
日々の積み重ねを大切にする。

無理のない身体の使い方を学ぶことも、
タパスの一つです。

2-4. スヴァディアーヤ(自己学習)|探究し続ける姿勢

身体は一人ひとり違い、
答えはいつも一つではありません。

学び続ける姿勢が、施術を深めていきます。

2-5. イーシュヴァラ・プラニダーナ(信託)|委ねる勇気

治すのは自分ではなく、
その人自身の自然治癒力

セラピストは、そのプロセスを支える存在です。


施術そのものがヨガになる|ボディセラピーに生きる八支則の後半

ここからは、
実際の施術の中で体現される八支則です。

後半の部分はちょっと抽象的な考え方で哲学的になってきますので、

なんとでも言える!という感じです。(こんなんですみません!)

3. アーサナ(姿勢)|無理のない身体の使い方

自分の身体を痛めない姿勢は、
長く続けるための必須条件です。

4. プラーナヤーマ(呼吸)|呼吸が空間をつくる

深く穏やかな呼吸は、
言葉以上に安心を伝えます。

5. プラティヤハーラ(制感)|雑念を手放す

外側の刺激から離れ、
今、触れている身体に意識を向ける。

6. ダーラナ(集中)|観察する力

筋肉の反応、呼吸の変化、微細なサイン。

集中は、
施術の精度を高めてくれます。

7. ディヤーナ(瞑想)|施術が瞑想になるとき

考えすぎず、
ただ在る。

その状態こそ、
深い癒しが生まれる場です。

8. サマーディ(三昧)|境界が溶ける瞬間

施術する人・される人という枠を超え、
ただ調和が流れている感覚。

それは、
セラピストという仕事の醍醐味でもあります。


八支則から得られる、ボディセラピストの変化

  • 施術の質が深まる:在り方が変わると、タッチも変わる
  • 長く続けられる身体になる:姿勢・呼吸・意識の整え方が無理しなくなる
  • 信頼されるセラピストへ:安心感のある関わり
  • 人生そのものが整っていく:仕事を超えた人としての成長

おわりに|FLOWボディセラピースクールが大切にしていること

ヨガの八支則は、
学ぶための哲学ではなく、
日々の実践そのものです。

セラピストにとって、
施術の現場こそが修練の場。

FLOWボディセラピースクールでは、
技術だけでなく、
身体の使い方・在り方・意識の向け方を大切に伝えています。

この八支則の学びを、
これから一つずつ、
さらに深くご紹介していきます。

ぜひ続けてお読みください。